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降誕のファザード【2】

月は再び雲に隠れたのか室内は暗闇に戻っていた どうして…? 手紙はアーク様の公爵家の紋章が入っていたのに 組み敷かれたその場所は柔らかなラグが敷かれた床の上 ボクの上にまたがるように覆いかぶさっているのは アーク様ではなく… ボクの密かな想い人ジュリアス様だった ボクの体に体重をかけないように四つん這いになって上から見下ろす その姿は暗くてよく見えない 頭を両手でおさえられ口付けられる くちゅ… 長い髪からは確かにアーク様のコロン(香水)の香りがする どうして…? わからないことだらけだけど 嬉しい ジュリアス様とキスしているというこの現実が 嬉しすぎて胸が潰れそうだ 体が熱に浮かされたようにフワフワする ジュリアス様がボクに口づけている 息が乱れる 好きだ――― ジュリアス様が好き… 遠くでフクロウの鳴き声が聞こえる 暗闇に一筋の月光がさした時 そっと唇が離れジュリアス様はポツリと言った 「…すまなかった」 *********************** フェルを塔に送って寮まで戻ってきたネヴィル (一緒に流星を見よう―――か…) 「ちぇっ なんだってんだよ」 Petit frèreにするのは形だけだって言っといてなんだかんだ恋人みたいなことしやがって と王の甥っ子であるアークライトに不遜な物言いをする 部屋の前まで戻ったところで向かいの部屋の扉が開く 「おーネヴィルみんなで流星見に屋上行かないか?」 そういうロジェの部屋には仲間6人が集まっていた 「あれ? フェルは?」 「知んね」 「…どういうことだ?一緒じゃないのか?」 ネヴィルの変な態度に不信感を抱くロジェは重ねて聞いた 「フェルはどこだよ お前がついてるんじゃなかったのか?」 「オレじゃない お前んとこの若様がついてるんだよ!」 「どういうことだ…?」 事情を説明した 「おかしい…手紙?    若様が手紙で呼び出したって?」 そういえばいつもはロジェを介して 一緒に過ごす時間や場所が知らされていたのに 今回に限って手紙って… ロジェが急いでアークライトへ電話する 「はい…はい…」 オレは騙されたのか? フェルは無事なのか…!? 電話が終わるのも待ちきれず オレは大聖堂(カテドラル)へと走り出していた 大聖堂(カテドラル)まで全力疾走し 降誕のファザードの果てしない螺旋階段を駆け上がる ―――フェル無事でいてくれ―――

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