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降誕のファザード【3】
***ジュリアス視点***
オレは頭がおかしくなっていたのかもしれない
『オレのものにしちゃっていいよね…?』
アークライトにそう言われたあの夜から
頭に思い描くのはアークライトに組み敷かれているフェルの姿
あのかわいらしい唇を我が物顔に蹂躙する幼馴染の顔が
オレを見て不敵な笑みをこぼす
真っ白な体を余すところなく舐め回し
見せつけるように足を持ち上げて
そそりたつ肉棒を…
立場とか外聞なんて考えてる場合じゃない
卑怯だろうがなんだろうが
オレはあの子を自分のものにする―――
そして…
『助けて―――!!』
オレは我に返った
性虐待にトラウマのあるあの子になんていうことをしたんだ…
どうしても自分のモノにしたかった
そう思ってたのはとんでもない勘違いだった
オレがほしかったのは体じゃないんだ
アークライトからの誘いだと信じて疑わないこの子を騙し
無理やり自分のモノにしようとした
終わりだ
壊してしまったのはオレ自身だ
最初からオレのPetit frèreにしておけばよかった
そうすれば…オレだけのアンジュ に…
なってたのかなぁ…
最後に深く深く口づけをした
「…すまなかった」
そう言ってオレは
―――全てから逃げた―――
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