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告白【1】
アーク様に誘われて流星を見るために
大聖堂 に向かい、手を繋ぎバラ庭園を歩く
昨日の手紙は結局フロランの仕業じゃないかということで話は終わってたけど…
「…アーク様」
「ん?」
「昨日のことですけど…」
「うん」
「あれってフロランがやったのじゃない…と…思うんです…」
言いながらその後どう続けていいかわからず口ごもる
関係ないフロランが悪く思われるのはダメだ
でもうまく言うことが出来ずに足取りが重くなる
「わかってるよ フロランじゃない」
え…とアーク様を見上げるとニッコリ微笑み繋いでいる手をギュッとしてくれた
「フェルは何も心配しなくていいよ」
そういいもう片方の手で頭を撫でてくれた
昨日からずっと考えている
あの手紙は誰の仕業なのか
なぜジュリアス様があそこにいたのか
なぜアーク様の香水 の香りがするジュリアス様がボクに口づけをしたのか
もしかしてボクのことを…?
だとしたらどうして『…すまなかった』なんて言うのか
大聖堂 に着き降誕のファザードの入り口のカギを開けるアーク様
そういえばここってカギ…昨日かかってなかったな
大聖堂 は重要文化財でもあるのでカギの管理は厳重なはずなのに
そんなことを考えながら螺旋階段を登り始めた時
「あ そうだ 忘れ物した」
そういいアーク様は「先に登ってて」と階段を降りていった
忘れ物ってなんだろう?お菓子とかかしら?
ボクもなにか持ってくればよかった…
そう思いつつ一人で螺旋階段を登る
昨日も登ったけどここの石造りの階段は
1段の高さが低く足がとても疲れる
息が上がるのを感じつつ階段を登りきり部屋に入る
昨日とは違って部屋の中にはいくつもの燭台が置かれ
蝋燭の灯りがボンヤリと室内を照らしていた
ドアを閉め 部屋の中を見回すと
―――そこに信じられない人がいた―――
腰まであるつややかな黒髪
漆黒色の瞳
くっきりとした眉は男らしく
通った鼻梁 少し厚めの唇
たくましい体躯のボクの想い人
「ジュリアス様―――」
驚くボクの前に歩み寄りジュリアス様が跪いた
「あ…あの…」
アーク様と3人で流星を見るのかな?
でもジュリアス様がボクに跪くなんて…高貴な方がなんでボクなんかに…
昨日の口づけを思い出し耳まで真っ赤になってるのを感じる
恥ずかしい…ボクを見ないでほしい…
そう思った時ボクの右手はジュリアス様に捕らえられていた
立っているボクより低い位置にあるジュリアス様の双眸が真剣で
ボクは目を逸らすことが出来なかった
「昨日は…申し訳なかった―――」
「あっ いえ!そんなこと立って…立ってくださいジュリアス様」
あわてて手をひこうとするが、ものすごい力で捕まれ離れない
見下ろすなんて失礼なのでボクも膝を折り目線を合わせるようにする
ボクの右手はジュリアス様の両手に包まれていた
ジュリアス様の手がすごく熱くて
わずかに震えている
長い沈黙の後 ジュリアス様が
「………好きなんだ!」
ボクが妄想していた
最も言ってほしかった言葉をくれたんだ
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