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恋の手ほどき【3】
次の日の昼休み
アークライトの部屋でランチを食べながら
フロランは昨日の報告をした
「Petit frèreになりたくない理由はまぁ…聞き出せたんだけど―――」
「な…なんて言ってたんだ?」
椅子から立ち上がり食べようと手にしてたパンを握り潰したジュリアスに
アークライトが落ち着けとなだめる
「それはフェルが秘密にしたいらしく口止めされてるので言えない」
「どうして…コッソリ教えてくれ?でないとオレは納得できない」
「ダメ ボクはフェルの味方になるって決めたから」
あれほどフェルを嫌って意地悪ばかりしてたフロランのこの変わりように
アークライトは目を見張った
メインディッシュの魚のポワレにナイフを入れながらフロランは話を続けた
「別にPetit frèreにならなくてもよくない?両想いなんだったら」
そう言いながらアークライトの方に目線をやる
(Petit frèreになれても両想いじゃないボクのほうがツライっちゅーの)
「それだとフェルの身に危険が危ない」
危険が危ないって…よっぽど危ないの意味だろうか
この王子もおバカなのかもしれない
「ボクだって長年Petit frèreなんていなかったけど無事なんだし
(まぁ多少の危険はあったがそれは伏せておくとして)
フェルには7人も手下がいるんだしボクも守ってやるから
とりあえず今はPetit frèreの件は棚上げにしといて」
命令口調でビシッと言い切るフロラン
「それよりも…」
「キスから先をしたらしいけど?」
「うぐっ…」
「最近はキスしかしてくれないって悩んでた」
「本当に?怖がってなかったか?」
「そのさきのやり方がわからないって言ってたしやる気は満々なんじゃない?」
食事を食べ終えたフロランは窓際の椅子へと移動する
未だスープすら飲み終えていないジュリアスも食事を放棄しフロランの向かいに座る
王子の前だと言うのに足を組み偉そうにふんぞり返るフロランは
肘掛けに片手をつき頭を傾げ、楽しそうにアドバイスをする
「その先のやり方を教えておいたから
明日は土曜日だしデートにでも誘ってなんなら泊まってやっちゃってきたら?」
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