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真実【1】

ジュリアス様とのはじめてのデートだ 今日のボクはフロランが用意してくれた モーブピンクのTシャツにキャメルの薄手のジャンバー タイトなジーンズというラフカッコイイ感じに仕上げてもらったが まだ夏の終わりなので暑くてジャンバーは脱いで手に持っている 『いい?財布なんて持っていかなくていいから  デートは男が払うのが当然なんだから』 もとより財布なんて持ってないんだけど そういうフロランにアルバイトで貯めた銀貨も置いてこさされた 『そんで今日はお泊りしてくるつもりで心の準備をして  ネヴィルにはボクから言っておくから』 フロランがそんなこと言うものだから意識しちゃって ジュリアス様のお顔がまともに見れないよ お昼前にジュリアス様と別々の車で学院を出て郊外の大きな公園に到着した デートだけど王子様だから使用人の人が6人もついてきて その中にはあのテオフィルさんもいて ジロリとボクのほうを睨んでくるので怖くなって ジュリアス様とつないでいた手に汗かいちゃった 『己の身をわきまえておとなしく、 Petit frèreなどと公表などせず  影でジュリアス様のオモチャとして、せいぜいお楽しみさせてさしあげるがいい』 そう言ったお顔はものすごく怖かったけど Petit frèreにならなければ一緒にいてもいいってことだよね…? 公園は人が一人もおらず閑散としていた こんなに素敵な場所なのにと不思議に思っていると ここは王国直轄の庭園で一般人は入れないらしい 完璧に手入れされたガーデンは 様々な花が咲き乱れチョウチョがせわしなく舞っていた チョウチョが1匹ボクの頭にとまると 可愛いと言ってジュリアス様が微笑んでくれた そのお顔がかっこよすぎてボクは真っ赤になって目をそらした しばらく進むと大きな温室があり、中に入ると少し気温が高くて 見たこともないような、色鮮やかな花がたくさんあった 珍しくて1つ1つジックリと観察するボクに 庭師の人を呼び説明するように言ってくれた 「遠い南国でしか咲かない珍しい花を見せたかったんだ」とジュリアス様が言ってくれて 胸のあたりがキュッとして大好きがあふれそうになる どうしよう…大好き 好きすぎて心臓が破裂しちゃうんじゃないかしら あと7ヶ月…その時ボクはどうなっちゃうんだろう… 花ではなくジュリアス様をじっと見つめるボクに気づくと その大きな腕で抱き上げてお姫様抱っこをしてくれたんだ ジュリアス様の濃紺のシャツからは、いつものジュリアス様の香りがして 長い黒髪がシャラリとボクの頬を掠めてくすぐったい 抱かれながら移動した見晴らしのいいテラスからは庭園が一望できて 昼食が用意されていてそこで一緒にランチをした 嬉しくて 楽しくて この瞬間を1つも忘れまいと心に刻む その後 車に乗ったボクらが向かった先は 千年の歴史を刻むヴィリアーズ王国の王城だった

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