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真実【2】

大聖堂(カテドラル) から遥か遠くに見えていたお城は 近づくにつれ、その大きさと綺羅びやかさに萎縮してしまう いくつもの門を抜け、車が到着したお城の入り口には 数え切れないほどの使用人の人たちがいて頭を下げる ジュリアス様の影に隠れるようにシャツの裾を掴むと 極上の笑みを浮かべ見下ろすジュリアス様がボクの手をうやうやしく引きながら お城の中へとエスコートしてくれる (こんなに沢山の人に見られて平気なのかしら…) せっかく Petit frèreにならず影の存在となろうとしてるのに バレてしまうのではとドキドキする それともボクが気にし過ぎなのかな? ただのお友達を連れてきたって思ってるかもしれない 連れて来られた先は、ジュリアス様の私室のようで 学院の寮のお部屋なんて比べ物にならないほどの豪華な調度品の数々で さすが王子様だなぁ…なんて感心しちゃう メイドさんが出してくれたお茶とお菓子をいただきながら寛いでいると 「すまないけど 少し片付けないといけない仕事があって  1時間ほど待っててもらえないかな?」 コクンと頷くとジュリアス様は 後ろに控えるテオフィルさんに「色々見せてあげて」と言いおいて去っていった よりによってテオフィルさんと二人きりにされるとは、怖くて背筋が凍る 飲んでいた紅茶のカップを持つ手が震える 「じゃ――――――「ひぃぁ!!」」 カシャンと音を立ててカップをテーブルに置いてしまったボクに 「そんなに怯えなくても 分をわきまえさえすれば何もしませんよ」 と皮肉な笑みをたたえたテオフィルさんが溢れた紅茶を片付ける 「スミマセン…」 「さて…案内と言ってもどこがいいのやら」 そういうテオフィルさんに連れて行かれたのは、薄暗い大きなお部屋で 司教さまに懺悔をしたお部屋の外にあった 絵画がたくさん飾られた部屋に似ていた 「ここは王国建国よりの代々の国王の肖像画や書物がある部屋で   一般人が入ることなんて到底出来ない場所だ」 お前ごときが と遠回しに言ってくるテオフィルさん そんなにネチネチ言わなくてもわかってます… 1つ1つ絵画を見るたびにこの王国の歴史の長さと ジュリアス様のお立場の大きさが身にしみて感じられる テオフィルさんは身分の違いを思い知れってことを言いたいんだろうな…

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