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天使におしおき【1】

「あの時のウサギさんどうなったか知りたい?」 「ウサギ?」 「うん ずっと気にしてたんじゃないかと思って」 「……え…っと」 窮地に陥っているのはジュリアスだ 「えー!?覚えてないの?あの白いウサギさんだよー」 「ごめん…」 「むぅ ジェイってば忘れんボだな~  赤ちゃんがなかなか産まれなくて、このままじゃ死んじゃうかもって心配してた子だよー」 「あ! ああ…あの子か だいじょうぶだったの?」 「ふふ…なんとあの次の日に4匹も元気な赤ちゃんが産まれましたー!!」 「白いの2匹とね 茶色いのが2匹でね… ジュリアスは昔話をするフェルを膝に乗せ、抱きしめて体温を感じていた あの恋い焦がれたアンジュ(天使) が膝の上にいて 自分だけのアンジュ(天使) になった幸せを噛みしめる 「ねぇったらー聞いてるの?」 頭の上のジュリアスの顔を見上げ、頬を膨らませ怒るフェルの頬を人差し指でつつく 「またジェイって言ったな、今度言ったら おしおきするぞ」 「やだー!おしおきしないで」 キャッキャとジュリアスに抱きつく 最近、食堂棟まで押しかける狼たちを避けるために 夕食を食堂棟ではなく、ジュリアスの部屋で一緒にとり 消灯の時間までジュリアスの部屋の応接室で 健全におしゃべりをしマッタリと二人で過ごしている たまにキスもするが、さすがに寮でHなことはしていない (次の週末はデートしてお泊りのリベンジをして…) ジュリアスは一人楽しい計画を練っている 「ねーねージュリアス様のクラスって学院祭で何するの?」 4日後にある学院祭は生徒がいろんな店を出し、その売上を寄付する 学院伝統の行事で、外部の人も招待する大々的なものだ フェルにとっては初めての行事ではりきっているようだ 「うちは遊園地?なんか大工道具使って大掛かりな物作ってるようだな」 「へー ジュリアス様は手伝ってないの?」 「オレら生徒会は全体の監督が仕事だからやらないな」 「そうなんだ 生徒会って大変なお仕事だね」 ジュリアスの指を弄び、いろんな形を作るフェル 「見て―これ!教えてもらったカエルさん まだ覚えてるよ?」 「フェルのとこは?」 「うちは天使カフェなんだって」 なんだそのピッタリすぎる出店は 「天使が給仕するってことなのか?」 「うん でもね~ちょっと衣装が…」 表情を曇らせるフェル 「衣装が?」 「フロランが作ってくれたんだけど…ちょっとアレ恥ずかしい」 恥ずかしい衣装とはどういうことなのか、興味と心配が入り混じる 「今それって部屋にある?」 「ある…」 「着てきて」 「えー!やだよ 恥ずかしいもん」 「いいから」 「やだってばー」 ジュリアスの膝から降りて逃げようとするフェル 「生徒会として認められる衣装か吟味する必要があるから」 そう言われると反抗できない…けど 「持ってくるだけで着ないでもいい?」 「ダメだ」 「むぅうううう」 「早く」 「ぅぅ…ほんとに?」 「すぐに」 フェルは観念してトボトボと自分の部屋に戻っていった

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