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天使におしおき【5】
「お前…見たのか?」
「何をでございますか?」
自分が寝ぼけてシーツを引っ張ったせいなのを棚に上げて
テオフィルを責めているのは王子ジュリアスだ
「見たのかと問われれば見えてしまいましたが?」
「チッ! お前の記憶から消せ すぐにだ」
イラついたように着ていたバスローブを脱ぎ、投げ捨てた
それを拾い上げ準備していた制服のシャツを手渡すテオ
フェルはというと、あの後シーツを体にグルグル巻きにして
自分の部屋へと走って帰ってしまった
「お前明日から起こしに来なくていい 部屋にも勝手に入ってくるな!」
「それはそれは ご自分でちゃんとお起きになれるのでしたら
随分とご成長されたようでテオは感泣至極 にございます」
無礼なまでに丁寧な言葉遣いで嫌味を言ってくる
「しかし…
生徒会を統べる会長として、昨夜の行為はさすがに風紀上よろしくないのでは?」
正論にグゥの音も出ない
「う…うるさいっ!もう出る お前は呼んだ時以外、部屋に勝手に入ってくるなよ!」
そういって登校時間には早すぎるのに朝食も取らずに部屋を出ていってしまった
***テオフィル目線***
(嘆かわしい…
私の大切なジュリアス様が、あの淫婦にどんどんたぶらかされて
堕落していっているではないか
毎朝、寝起きの悪いジュリアス様を私のこの手でお起こしする
この15年欠かさず行っていた神聖なる行事なのに
『お前明日から起こしに来なくていい 部屋にも勝手に入ってくるな!』
あのような事おっしゃる殿下ではなかったのに
あの堕天使めが…
確かにあのような姿をしていると
真の天使が降臨したのかと錯覚した
股間に見えたペニスまでもが清らかで真っ白で…………)
あの天使が淫らな行為をするのを想像しようとして―――やめた
(まぁよい あと5ヶ月だ、中等部卒業までの期間限定なのだから
優秀な執事である私は、些末なことには目を瞑ろう
どこに行かれようとも
私だけは永遠に殿下のお側に―――)
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