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学院祭【3】
ヒュ~ ドンドンッ パァ~~
雪のように降り注ぐ打ち上げ花火を見上げ
目を輝かせる天使を幸せそうに腕に抱くジュリアス
学院祭のフィナーレの打ち上げ花火を
ジュリアスの部屋のバルコニーのカウチに寝そべりながら見る二人
「すごい…空に花がたくさん咲いてる」
はじめて見た打ち上げ花火に感動するフェルに
黒髪の恋人が優しく問う
「学院祭は楽しかったか?」
「うん すごくすごく楽しかった」
そうかと頷くとフェルの髪を優しく撫でる
「伸びたね」
なんのことかと振り向くフェル
「初めて会った頃は肩につかないくらいだったのに胸のあたりまで伸びてる」
サラサラのフェルの金髪を弄ぶジュリアスを見ると
その漆黒の瞳に夜空の花火が映っていた
次々と打ち上がる花火がジュリアスの瞳の中で花開く
「うん ジュリアス様みたいに長くしたいと思って…入学してからずっと伸ばしてるの」
花火が映るジュリアスの瞳から目を逸らすことが出来ず
ポゥッとなりながら答えた
「写真…ありがと ネヴィ母すごく喜んでた」
「すごい似てる一家だったな オレ笑いそうになったよ」ジュリアス様はプッと吹き出した
「でしょ クローン一家なんだよ」クスクスとフェルも笑う
「ボクの大切な家族なんだ」
「うん また一人増えるんだな」
「そうなの秋季休暇にはボクも会いに行くの」
ジュリアスはフェルをギュッと抱きしめ首筋に顔を埋めた
「また2週間も会えないのか…」
いつの間にか打ち上げ花火は終わっていて
バルコニーは月明かりが緩やかな明るさで照らしていた
「ボクも寂しい…」
ジュリアスの頭を抱くようにしてフェルはジュリアスのこめかみにキスをする
(今日も幸せな1日だった
来年の今頃にはジュリアス様はどこか遠くの国に留学してしまっていて
ボクは今日のこの日を思い出して泣いてるのかな?)
ジュリアスの頭を胸に抱きしめ聞こえないくらいのか弱い声で呟く
「……体が溶け合ってしまえたらいいのに」
そしたらずっと一緒にいられるのに―――
「オレはいやだな」
フェルの体をカウチに組み敷き
その小さな顔を両腕で囲うようにすると
長い黒髪がカーテンのように閉じ込めた
「フェルをこうして抱きしめキスすることができなくなるからオレはいやだ」
いたずらっ子のように笑うジュリアス様
「愛してる…フェル 永遠にオレのものだ―――」
「ボクも…愛してます ジュリアスさま」
ボクらは溶け合うかのように熱いキスをした
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