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秋季休暇【1】
僕らの関係は気まずいまま秋季休暇を迎えた
今ボクは王都にあるフロランのお屋敷で、なぜだかドレスを着せられていた
胸元に大きなリボンが3つもついている真っ白なドレスは
沢山のパニエを下に履き、ふんわりと広がってお姫様になったみたいだ
「可愛い…」ウットリとした目でボクの唇に紅をひく女性
「髪飾りはどれがいいかしら?お花?それともお揃いのリボンにする?」
「待って!このパールを散らすのはどうかしら?」
「髪を結い上げるほうがいいんじゃ?」
6人もの女性にオモチャにされているボクは今
フロランの実家にお邪魔しています
伯爵夫人の恐怖で女性が苦手だったボクなのに
フロランとそっくりなお姉様方はちっとも怖くなかった
秋季休暇 誰の家にお泊まりに行くか揉めてた僕たちに
フロランが自分の家だと譲らなかったため来たんだけど
来るなりお姉様方のオモチャと化したボクを
楽しそうに乗馬姿のフロランが笑う
「ボクは馬に乗ってくるから夕飯まで姉さんたちの相手してて」
そういってさっさと出かけてしまった
秋季休暇はネヴィルん家の赤ちゃんを見に行くはずだったのに
出産が遅れているみたいで先にフロランの家に来たんだけど
フロランではなくお姉様方と遊ぶハメになっている
シャボン玉をたくさん飛ばし
ボクを撮影するお姉さま達の後ろに山積みになっているドレスが恐ろしい
アレを全部着させるつもりだろうか…
その予感は的中し、その後もいっぱい着替えさせられ
夕食もドレスのまま参加させられてフロランの家に来たことを後悔した
フロランのお父様は子爵様でとてもカッコイイ紳士で
お母様はお姉様方やフロランにそっくりで可愛らしい方で
フロランが初めて友達を連れてきたと喜んでくれた
その後2日間お世話になった後
執事さんにネヴィルの家まで車で送ってもらった
「フェルが来てくれたからオモチャにされずに助かったよ また来いよ」
とフロランは笑ってたがきっと二度と来ないだろう
そのくらい疲れた
ネヴィ母の出産は1週間も遅れていたけど
さすがにもう産まれてるかな?
ネヴィルの家に到着し、送ってくれた執事さんにお礼を言い、門を入る
今日からお世話になる約束をしてたけど、出産でバタバタしてるだろうに申し訳ないな
玄関前に座ってるとうもろこし頭は…次男のエリオットだ
手を振るボクを見つけると
ネヴィルそっくりの人懐っこいそばかす顔を歪ませた
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