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誘拐【8】
捜査本部でアルバムを目を皿のようにして見ていたクリストフェルが呟いた。
「いない…あの赤目の男がどこにもいない」
「ほんとに青いネクタイなのか?他の年のも見てみろ」
ネヴィルにそう言われると自信がなくなってきて他のも見ることになったが、ここ10年の他の年のアルバムも全部見終わっても、あの男は見つからなかった。
「10年以内の伯爵家の息子って線でも調べろ」 ジュリアスがテオフィルに指示を飛ばす。
「クソッ…なんでだ! アイツなのに…絶対にアイツなのにっ!!」
「落ち着け!お前の記憶が頼みの綱なんだ…」ネヴィルが親友を励ますが、クリストフェルの疲労の色は濃い。
ジリジリと時間だけが過ぎてゆく
外はすっかり暗くなっていた―――
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