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第4話

「……潤、僕と正式に付き合ってくれないか?」 「ダメですよ、佐伯様には素敵な奥様がいらっしゃるじゃないですか」 「あいつとは別れる。三十年連れ添ってきたけど、今じゃ愛情なんて全くない。あいつだって外に男を作って遊んでいるに決まってる。僕が愛しているのは潤だけだ。だから……」  最近は、会ってセックスした後は大体この話だ。俺よりもひと回り以上年上で五十歳の佐伯。  有名な貿易会社の社長らしく、外見も中身もダンディーな大人の男で、多分相当女にモテる。今の奥さんだってかなりの美人だと、よくベッドの中で聞かされた。  そんな佐伯は随分前から俺を気に入り、週に一度はこのホテルで待ち合わせをして一夜を共にする関係が一年以上続いている。俺は、あくまで最低限の金しか受け取らないし、貢ぎものは有難くいただくが、関係はきちんと線引きをしていた。  最初のうちはそんな条件通りな割り切った関係が成立していたはずだったのに、半年を過ぎた頃から、佐伯は俺を自分のものにしたいと口にするようになった。 「何度も言うように契約違反ですよ、本気になったらもう会えませんけど……」 「本気じゃない、ただ、僕だけの男になって欲しいだけだ!」  そう声を荒らげると、後ろから抱きしめていた腕に力を込める。そして顔を自分の方へと向くように顎を取られると、佐伯が顔を寄せてくる。 「キスも契約違反ですよ。代わりに……特別にもう一回してあげますから、だから……ね、この話は終わりにしましょう?」  宥めるようにやんわりとその手を取り上げ自らの指に絡めると、適度に鍛えられた胸へと舌を這わせる。そのまま舌先を下半身まで移動させると、さっき欲を出したにも関わらず僅かに反応している佐伯のモノに辿り着き、なんの迷いもなくそれを口に含んで目を閉じた。

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