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第5話
ぐちゅぐちゅ、と水音が暗い室内に響く。
「いや、いやだ。やめてくだぁあんっ」
ベッドの上で裸にむかれ、くたりと下を向いていたモノを口に咥えられて今では先の方から嬉しそうに蜜を垂らしている。
突然のことだった。買い出しから帰ってくると暗い室内で、立ち尽くす清水がいた。
『ただいま』
『…………』
『清水さん?』
返事がないことに様子がおかしいと思った俺が彼に近づいた瞬間、がっしりと強い力で手首を掴まれていた。
『……っ、はなしてください』
あいている手ではがそうとするがビクともしない。そのまま、いとも簡単に身体を抱え上げられ彼のベッドに放り込まれた。
イヤな予感が頭をよぎる。ベッドを降りようとしたが、彼の腕によって両側を塞がれてしまった。
ギラリと鋭い光を放つ金色の瞳と目が合った瞬間、ぞくりと体がふるえた。
彼の顔が近づく、興奮しているのか浅い息を繰り返している。
唇が触れると彼の舌が中へと侵入し、貪られ、舌を絡められては吸われる。頭がボーッとしていくのを感じる。
(……ヒート、か)
αやΩには、ヒートと呼ばれる発情期の期間があることをどこかで聞いたことがあった。けれど、βを襲うなど聞いたことがない。
服に手をかけられてハッと我にかえる。
『やめて、ください!』
突き飛ばそうとした両手を掴まれ、片手で頭の上にまとめあげられる。どんなに暴れても解けないことに焦っていると、とうとうシャツのボタンを全て外されてしまった。
『……ふぅっ』
清水の爪が肌をかすめる。そのくすぐったい感触に小さな声をもらした。
『キレイだ』
そう呟く声がきこえたと思った瞬間、胸の赤い果実を食べ尽くそうとするかのように咥えられ、舐められ、甘く噛まれる。
『あっ、あん……だめ、やめ』
抵抗する声すら甘くなっていた。意味をなさないその場所がこんなにも快楽を得やすい場所だなんて知りもしなかった。
ここだけでは足りないと、彼が俺の下着を下げてモノを咥えられてしまい、冒頭に戻る。
「あぁあっ、あ、でる……でるから……」
限界を訴えると彼の舌が先の方ばかり責め始める。この短期間で自分の弱い場所がバレてしまったのだろう。
「あぁあぁぁぁぁあっ」
我慢できずに達すると、荒い息をはきながら脱力する。一人であったならこれで終わりだろうが、清水にはまだ終わらせる気はないようで彼の指が穴の周辺を撫でまわす。
「ま、まさか……やめろ、やめてくれ! 俺はΩじゃなっぁあぁぁぁぁあ」
突然の異物感に、体が強張る。何かを探るようにゆっくり進められるソレに嫌悪感すらあった。
いつのまにか指が一本から二本、三本に増やされて拡げられたと思った時には、全て抜かれていた。
なにもなくなったそこが、ひくひくとふるえているのを感じる。
物欲しげにふるえるソレに答えるかのように、彼の熱いモノが触れた。
(……おかされる)
ふるりと体がふるえた。そのふるえは恐怖によるものなのか歓喜によるものなのか、自分自身ですら検討がつかなくなっている。
ゆっくりと気を使うように入ってきたソレは、一番太い部分を飲み込むと一気に突き上げるように全ておさめられた。
「ああっ」
突然の衝撃に、軽く達してしまったのか自身のモノから泉のように白い液が溢れている。
ゆらゆらと視界が揺れるのをどこか遠いことのように見ていた。発情をただおさめるだけのこの行為に、彼の……清水の気持ちなど一欠片もないのだ。そう思うと無性にさみしく、虚しく思った。
涙が頬を伝う。
(あぁ、そうか……俺は、好きになっていたのか)
いつのまにか、出不精で絵を描くことしか考えていない、ピーマンが嫌いな子供のような清水を好きになっていた。
そう自身の気持ちに気づくとキュッとつながっている部分が変化した。清水のモノが中で少し大きくなる。
それと同時に律動が速くなるので、俺はとうとう考えている余裕すらなくなった。
意識を飛ばす寸前、耳元で「すきだ」と囁く声がきこえたのは、たぶん、きっと俺の願望がきかせた幻聴だったのだろう。
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