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「ハーイ!凛ちゃーん♡」
振り向かなくてもわかる。
この海外ドラマみたいな登場の仕方。
「ハーイ、ウィル」
渋々肩越しに視線を向けると、今日もキラキラオーラ全開のモテ男がいた。
「ちがーう、悠真だよお!ゆーちんだよーーお!!」
「アラサーでその発言は結構イタイよ」
見た目だけで言えばクールで黙っていればSっ気ありそうなのに拳を振り上げて駄々っ子ポーズはいい加減にしたほうがいいと俺は常に思っている。が、これはこれで女子ウケが大変よろしいのが悔しいところだ。
「聞くところによると凛ちゃん」
「なんですか」
「今、タピオカなるものが流行っているとか」
「あー、そういえばこの辺にも店が出来たみたいだね」
「昼休みに行こう凛ちゃん」
「行ってらっしゃい」
「なんで!行くよ!」
「タピオカ、別に興味無い」
「興味持とうよ!!そんなんじゃすぐにオッサンになっちゃうよ!!」
「もう俺ら、半分オッサンに足突っ込んでんの。タピオカなんて成分芋なんだろ」
「タピオカ美味しいよねえ~~」
「あ、はい!」
通りかかった若い女の子に声を掛けて、同意を求めるのはズルい。
肩もぽん、と叩いたりなんかして。
世間ではセクハラというんだぞ?!
でも許される、どころか喜ばれている様子のゆーちん強し!!
結局、2人揃って並んで黒糖タピオカミルクティーを購入した俺も俺である。
(チョロすぎる)
自分のチョロさにドン引きレベル。
「今日も仲良しだねえ」
帰りに鉢合わせをした部長にまで言われて。
ヤバイんじゃないの、俺。
すげえ流されてるんじゃないの、これ。
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