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第2話

一瞬目を閉じた、そのすぐさま数分の時も刻まずに気配を感じ目を開ければ、鉄骨に自分の後ろに立っている人物が反射して見えたのは、よく見知っている肩まである赤髪の顔立ちの整った青年だった。 その一瞬の判断で彼がいることへの驚きと共に、自然と身体がビックとなって俺は、あの人に対する恐怖心に比べればそこまで怖くはないというだけで、脳内の警告音が赤髪の彼からすぐに逃げろと鳴り響く。 直ぐに行動を移そうと身体に力を入れた瞬間、逃げる隙もなく腕を掴まれ向き合わされる。 「お前の兄貴が待ってる、お前はあいつからは絶対に逃げられない。一緒に来い。」 なんの確信を得てこいつは言ってんだと、一瞬目を見開くが、自信でもあり絶対そうだと有無を言わさせないオーラを見にまとった赤髪の彼から目を離すこともできず、無言で見いやる。 その言葉は俺にとって最終通達でしかない。絶望を感じながらも、なんの抵抗にもならないだろうが意志を伝えるために「い、いやだ。」と言ったのにまるで見えない糸で操られているかのように、なぜか体がいうことを聞かず、赤髪の彼の後ろをふらふらと自前の黒い羽を広げてついて行くが、一日にしては、もう3日以上の時間を過ごしたと思えるどの疲労を伴ったような気持ちで足取りが重くなる。 この塔に着く前まで狂った我が姉との鬼ごっことかくれんぼで、鬼は当然姉であり本気の力で殺しにかかってくるのを必死で逃れ対抗した後ということもあり、全身傷だらけの血まみれでボロボロだったというのにあの人のいる場所に連れていかれるなんて、姉とは比べ物にならないくらいこれ以上酷い目に合いに行くなど地獄じゃないか。 そんな気持ちで自分の体を視界にいれれば黒のTシャツとジーパン。あれ程ボロボロになったはずなのに傷や血のシミはなく、いつの間に表面上の修復が行われたのか不思議に思いながらも、身体の気怠さ疲労感は消え去っていない エネルギーの無さの原因を思い返していた。 あれだけ闇が深いような螺旋状の鉄骨の外側に出て羽ばたいて風を切り急降下して行く間、自分の身なりを気にして先程までのことを振り返っていたがハッとすれば赤毛の彼は先に地面に降り立っていた。 数歩差で俺も地面に足をつけて赤色の彼の背中越しにこちらに向かってくるあの人を遠目に確認しながら、顔だけかるくこちらに向けて俺に「ついたぞ。」の一声をかけてくる。

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