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第3話
終始冷たい目で俺を見下ろしていた赤髪の彼は俺にとって初めて目にする笑みをあの人に見せながら「連れてきたぞ!」と機嫌がいいんだろうと丸わかりの明るい声でどんどん近づいてくるあの人に、大きく手を振り叫ぶ。
死の宣告早くないですか、まだ生きていたいんだけど、なにこの赤毛。俺には笑顔なんて見せやしないくせになんなの?と半場逆ギレ気味に赤毛の彼の後頭部に禿げろ。と恨みの念をきる、それが無駄な抵抗と分かっていはしても、今一番、否、今後一生会いたくもなかったあの人と合わせるために連れてきた赤毛が全て悪いんだ。恨まずにいれるか!と内心開き直りつつも、自分とは似ても似つかない、姉も同様だが見た者がひと目にすれば思わず息をのむほどの美形で長身で何処のモデルさんですかと聴きたくなる様なスタイル抜群な我が兄が、絶対その感じだとまだまだ、到着までに数分かかりますよね?と思いたいところを、どんだけの速さで歩いてんの!?と疑いたくなるほどの速度で俺らとの距離が縮めてくることに驚きが隠せない。
これは赤毛に禿げろ。とか念を送ってる場合ではどうやら違い、あの人が近づいて距離が縮まるまでに自分は『殺される。また、痛い思いをしなきゃいけないのか。』と絶望に恐怖心が募り『いやだ、逃げたい。逃げたい。』と互いの距離が望んでもいないのに縮まるごとに気持ちが膨らんでいく。
もう、我慢も限界で見えない糸が切れたかのように俺に背を向けて赤髪があの人に視線が行ってるのを目に今なら此処から逃げれると、1歩、2歩と後ろに下がりそのまま身体を来た道に向けて、助走からの飛び逃げようと空へ羽を伸ばし飛び立ちまでは成功したが、数センチも足が地から離れていないのに赤髪に腰から腕を回され地へと逆戻りするはめになった。やはり、赤毛は禿げるべきだと思う。
即座に呆れたように「逃げるなっただろうが。」と赤髪に言われるが、あの人が俺にしてきた今までの仕打ちを知っていて、そんなことを言っているのか?ただの兄弟喧嘩じゃないんだよ、こちとら命かかってるん、だ、よ!
だが、赤毛の存在があることで自分の身が安全であるのならこの場所に居て欲しいとあの人に上半身を向けてる赤髪の腰に小震えを止めることもできずへばりつく。
勿論赤髪がいたからといって自分が安全など保障は全くないのに、なんなら赤毛に先ほどまでどう調理されてしまうのかと危機感でいっぱいだったはずが、上には上がいるという言葉があるように彼らに対する危機感の度合いが自分の中でランク変わりをしたのだろう。
今一番危険なのは、実の兄なのだ。
禿げろなんて念を送ったこと謝るからあの人か俺を守ってくれよーおおお!と内心叫びながら赤毛にへばりつく俺に赤髪は困ったような表情で俺を見下ろし「俺が殺される」とボヤくその言葉に俺は「え?」と、なんでという驚きに足元にやっていた視線を赤髪の顔に上げた。
その言葉の意味を考える間すらもらえず、急に視界が揺らぎ地面に背中からダイブした。
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