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第4話

ドスンっと重い音と一緒にかるく滑りその痛みにう”っとうねり声を小さく上げ、痛みから一瞬閉じた瞼を開けば視界いっぱいに広がるのは透き通ったブラウンの耳元から肩までくしゅっと緩いウエーブのかかった髪型をしたお兄様だった。 俺に何度となく『もしかしなくとも絶対に殺したいほど、嫌いだよな俺のこと』と思わせるほどに酷い恐怖心の種を顔を見合わせれば植え付けてきた我が兄の無言の目線に『痛いの嫌なのに内臓またえぐられるのか?』と震えが止まらないまま、逃げようと思えば逃げれるかもしれないが身体が動かず自ずと目と目があったまま、そらすことも出来ず固まる。 動けない俺に音もなく近寄り「掴まえた。」と冷たさの含んだ低音の声でぼそりと呟いたかと思うといきなり首の根元にガブリと噛みついてきた。 この男は肉に飢えすぎていませんか? 何処に血の繋がった家族の首の根元に本気でかぶりつくんだよ。もう、あの姉もだが俺の家族にマシなやつはいないのか。百獣の王であるライオンだって共食いしないんだよ、こいつらゾンビかなんかなのかな。あれ?俺吸血鬼に生まれてきた記憶はあってもゾンビに産んでもらった憶えもましてや育てられた記憶もないんだけど、やっぱり橋の下に俺は捨てられてたのを親が拾ってくれたのかな、、ちょっぴり悲しい気持ちに意識が飛んだけど現実は何も変わっていなかった。 首の根元を噛みちぎりそうな勢いで噛んでる兄のその低音ボイスも赤毛の情報では、そこらの女性が聞けば快感を与えそうなエロボイスに近く濡れ場発展も簡単に行くそうだが俺からしたらただただ死を宣告してきているようにしか感じ取れない。男女の差ってやつなのか? そういえば赤髪はどこにと目線を動かせば俺の視界に急に赤毛が現れた。助けを求めようと涙目で押さえつけられていない方の腕を伸ばせば赤毛はお気楽そうな声で「道端だってことわすれるなよ~」なんていいながら呑気に機嫌よく去って行った。その瞬間赤髪に対する殺意が兄に対する恐怖心を上回ったのは言うまでもない。やはりあいつは禿げるべきだ、そう今直ぐに! 兄がもぞもぞと首筋からちらりと顔をあげて赤髪の声がした方を見たと思ったらそのまま俺の助けを求めていた方の手首やおなかや足など至る所を、上手く言えないが音なのか感触なのかプチッと皮膚に穴が開くのを感じ、その後チゥっと体内の血の流れが通常の流れを無視しているような感覚になんとも言えず、ただただ望んでもいない公開プレイのごとく大量に血を飲まれる 俺の見える範囲での兄の血の飲み方はまるで、恋人が恋人の肌に血痕を作る時かのように見えるが全く見た目と実際の内容に大きな差がありだんだんと意識は『何故兄に恐怖心を抱かいけない?』などという、もっと他に考えることあるだろうと言う中で今考えるべきではないことが頭の中で渦巻く。 赤毛へのイライラもつるのながら、勝手に押し倒して愛でる対象であるべき弟の血を優雅に飲んでいやがる兄上にも苛立ちがだんだんと募ってきた。 なにも根拠はないが、『もしかしたら。』と思い当たる節が過去の映像がバラバラに頭の中で一つの確かめてみたい事に繋がる。こんなにも言い表せない兄への恐怖心が一気に風に吹かれて無くなったかのように消えた。 『そういえば、俺って吸血鬼だよな。』と兄と種族は一緒なんだと今更ながら、恐怖心がいっきに消えたことで気づき、思い切って兄の俺の腹下に降りていた顔を自由の利く腕で軽く自分の顔に向けさせる。

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