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第3話

……カズ…… またそんな事…… 心の中で、小さく溜め息を漏らした時だった。 『……伊江』 え…… 懐かしい声に驚いて、目を見開けば……そこにいたのは、ナツネ。 一糸纏わないその姿は、山引の背中から産まれた時のナツネそのものだった。 無駄のない、キュッと引き締まった体。 適度についた筋肉。 キリッとした切れ長の澄んだ瞳。整った顔立ち。 僕とそう変わらない年齢に見えるナツネは、どこか幼さが残っているにも関わらず、クールで大人びている。 無表情のまま……だけど僕をしっかりと捉え見下げた双眸には、どこか熱を秘めていた。 どうして、ナツネくんが……ここに……? 『……やだぁ。伊江くんて、オトコ知ってるんだぁ♡』 ベッドの上に、いつの間にか四つん這いになっている全裸の山引。 中性的な顔立ちに、後ろで無造作にひとつに纏めた柔らかそうな癖っ毛。 眼鏡の縁を持ち上げ、僕の下肢を割り広げた間に、その顔をぐぐっと寄せる。 「……わぁっ!」 驚いて、頭を少しだけ擡げ山引を見る。 山引は慌てる様子もなく、へらっと軽い笑顔を僕に向けた。 『ねぇ伊江くん。 …………3Pしようか!』

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