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第11話 手作りマスコット

 手作りのマスコットは、どうしても女の子の存在を感じさせてしまう。  保はこれほどの美少年だ。女の子にだってモテるだろう。  中性的な、浮世離れした美貌だが、テレビなどで人気のアイドルなどを見ていても分かるように、保のような雰囲気の男に惹かれる女の子は多い。  真っ直ぐで素直な性格も、好まれると思う。  今は特定の彼女の存在は感じられないが、その一歩手前くらいの女の子はいるのかもしれない。  橘は部活動以外での保が、どんなふうに過ごしているのか、ほとんど知らないのだから……。  もし、保に彼女ができたら……、先輩先輩って慕ってくれることも少なくなるのだろうか……?  寂しいな、と橘は思った。なに女々しいことを、と考える反面、確かにそう考える自分がいる。 「橘先輩? どうかしましたか?」  気づかぬうちに物思いに沈んでいたようで、保が心配そうに声をかけてきた。  保の心配顔を目にして、思わず口が滑ってしまう。 「あ、いや、そのマスコットが……」 「え?」  きょとんと聞き返されて、ハッと気づいたが、口から出てしまった言葉はもとには戻ってくれない。 「いや、その鞄にぶらさがってるマスコット、手作りだろ? 女の子からのプレゼントかなって思って、保、モテるんだな」  本当になにを言ってるんだよ、オレは。  橘が自分自身に舌打ちしたい気持ちでいると、保は少し怒ったみたいな顔と声で言い返してきた。 「そんなんじゃありません。これ僕が自分で使ったんです!」 「は?」  思ってもいなかった言葉が返ってきて、橘は間抜けな声を出してしまった。 「保が作ったって? このウサギのマスコットを?」  橘がもう一度聞くと、保は一転、笑顔になって言った。 「はい。だって僕、中学の頃はずっと手芸部だったんですから」  

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