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第24話 悪友たちは知っていた

 恋人同士となった橘と保だが、学年が違うため、学校では部活以外ほとんど会えない。  その部活にしても、二人きりになれることはないので、平日は、時間を決め、待ち合わせて、一緒に帰ることくらいしかできなかった。  その代わり、休日はほとんど二人で過ごすようになった。  映画を観たり、遊園地へ行ったり、ショッピングを楽しんだり。  時には公園のベンチに座って、時間を忘れてホラーミステリーの話に夢中になったり。  そういうところは、男同士といえど、普通の恋人同士となんら変わらない。   橘はなによりも保の笑顔を見るのが好きだったし、二人で過ごす時間は楽しくて、文字通りあっという間に過ぎてしまう。  デートの別れ際、二人は必ずキスを交わすようになった。  こっそりひと気のない場所へ行き、口づけを交わす。  まだ大人のキスはしたことはないが、それでも口づけは少しずつ深くなってきているし、スキンシップも多くなった。  保は恋愛事には見た目通り奥手である。  でも、背伸びはさせたくなかったし、橘も性急な行為に走ることはしたくなかった。  幸せな日々が続いている、ある日の昼休み、悪友の加藤がぼそりと言った。 「橘、おまえさ、例の美少年……浜下保くんだっけ? と付き合ってるだろ?」  学食で悪友四人が集まっているとき、そんなふうに指摘され、橘は思わず定食の唐揚げが喉に詰まりそうになった。  ミネラルウオーターでなんとかそれを飲み込んでから、得意のポーカーフェイスで逆に聞き返してやる。 「なんの根拠があって、そんなこと言うんだ? 加藤」  保との関係は頑なに隠す気はないが、勿論、公然と発表する気もない。  すると、加藤も残りの二人の悪友も、ジーッと橘のことを見てきて、大きく溜息をついた。

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