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第26話 女の子たちの嫉妬

「それ、どういうことだよ?」  橘の声が剣呑な響きをおびる。 「だからさ、おまえに恋焦がれている女の子たちにしてみれば、おもしろくないわけだ。おまえは女子に対してはクールなところあるからな。『あの一年生、いくらかわいいからって男のくせに橘くんと仲良くするなんてっ、キーッ』って感じで」 「そういえば三組の平岡ミヅキが、かなり気分を害してるって噂だな」  内川が思い出したように言った。 「ああ……、平岡が橘のこと好きっていう噂、本当だったんだ」 「みたい。平岡もかなりの美少女だからな。橘を落とす自信があったんじゃね? なのに、いきなり一年の、それも男の子が橘と仲良くしだして、腹立ててるんだろ」  そんなふうに言われても、橘にとっては迷惑なだけだ。 「オレ、平岡には興味ないんだけど」  確かに彼女は学校でも一・二を争う美少女ではある。  でも、橘はああいうタイプは好みではなかった。  なんというか、悪い意味での女性特有の媚が感じられるからだ。……そういうところが色っぽい、コケティッシュだ、という男も多いだろうが、少なくとも橘は苦手だった。 「まあ、確かに橘の好みではないわな。でも平岡はおまえのこと好きみたいだし、彼女のファンの中には荒っぽい野郎もいるからな。まあ、めったなことはしてこないとは思うけど、一応、保くんのこと、気をつけててやったほうがいいと思うよ」  悪友たちの注意の言葉に、橘の胸は嫌な感じに騒いだ。

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