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第38話 そしてまた夜がやってきて……
楽しい時間は瞬く間に過ぎてしまう。
保と橘は、朝昼兼用の食事をとり、午後はdvdを見ながらおしゃべりをして過ごした。
そして、気が付くとまた日が暮れていて……。
夕食を食べ、今度は順番にシャワーを浴びて、橘の部屋へ落ち着いたとき、二人は緊張の沈黙の中にいた。
保はふと思う。
もしかして僕って淫乱なのかな……?
昨日、初めて橘先輩とそうなったばかりだというのに、また先輩としたいって思ってる。
だって……、と保は自分自身へ弁解する。
昨日があまりにも幸せだったから。先輩をすごく近くに感じることができたから……。
不意に橘が沈黙を破った。
「保……」
「え……?」
答えた次の瞬間には彼に抱きすくめられていた。
「……ごめん。今夜は我慢するつもりだったけど、おまえが傍にいると、やっぱり無理だわ。保、欲しいよ、おまえが。昨日みたいに近くに感じたい。保を抱きたい……」
囁く橘の吐息が熱い。彼の手がゆっくりと背中を撫でおろすのが、とても心地よかった。
先輩も僕と同じように思っていてくれたんだ……。
そのことがうれしくて、保は彼の腕の中で、うなずいた。
服を脱がされ、橘もまたすべてのものを脱ぎ去り、素肌と素肌が重ねれらる。
彼の素肌を自分の素肌で感じると、とても安心することができた。
何度も口づけを交わし、橘の唇が耳元を、首筋を、鎖骨を、ゆっくりと這う感触に保は甘い吐息を漏らす。
「ん……、先輩……」
「保……」
やさしく名前を呼ばれると、切なさと幸せでどうにかなってしまいそうだった。
乳首を唇と指で愛撫されると、生まれて初めて知る類の快感が駆け抜け、ダイレクトに下半身へと欲情を伝える。
「あっ……」
抑えようとしても、どうしても声が出てしまう。
……その場所へ橘を受け入れるとき、確かに痛みはあるが、それ以上に彼と一つになっている幸福感が勝り、保は泣いてしまうのだ。
「保……、好きだよ……、保……」
愛しい人の声が甘く掠れて、保を揺さぶり始めた。
「……っ……、あっ……、ああっ……!」
痛みはやがて、気も狂いそうなくらいの激しい快感へ取って代わり、保を翻弄し、我を忘れさていく。
橘の雄を体内の奥深くへ受け入れ、あまりの快感に何度も気を失いかけては、より強く突き上げられ、めくるめく快楽の世界へと連れ戻される。
昨日より、体の強張りが解けた分、快感の波はより大きく、長い時間、保を呑み込んだ……。
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