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第48話 危機
陸上部をやめて。橘くんへ近づかないで。
そんなふうに一方的に言われて、保は腹が立った。
この美少女の先輩が、橘先輩を好きになるのは勝手だ……あまりいい気分じゃないけど。
橘先輩ほどかっこいい男の人、女の子が放っておかないのは当たり前だとも思うから。
でもどうして、なんの権利があって、僕と先輩との関係を壊そうとするんだ?
保は、きっぱりはっきり言い返した。
「嫌です」
美少女は鬼女のような目つきで保を睨んでから、怒りに震える声で言葉を投げた。
「ハッ、さすが男のくせに橘くんをたらしこもうとしてるだけあるわね。図々しい子。いいわよ、そっちがその気なら、こちらも手加減なんかしてあげないから。……ユキコ、大石たちへ電話して」
五分も経たないうちにその場へ現れたのは、大柄な、三人の男子生徒だった。
背は橘とあまり変わらないが、彼がすらりとスリムなのに比べて、男たちは骨太で、いかにも重量がありそうだった。
三人の男はニヤニヤ笑いながら、保のことを見ている。
保は初めて恐怖を覚えた。
美少女が歌うように、男たちへ命令した。
「この一年生、生意気だから気に食わないの。あなたたち、姦してやって」
「――――!」
美少女が恐ろしいことを言った。
三人の女子生徒が後ろへ下がり、代わりに男たちがジリジリと保を追いつめてくる。
その目にはギラギラとした欲望が浮かび、制服のズボン越しにも彼らが発情しているのが分かった。
こいつら、本気だ……!
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