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第2話
ということがあって。
「も~!!大竹マジムカツク!!何なのよあの男!!!」
そりゃあカップリング表を読み上げられなかっただけマシではある。マシではあるが、まるで自分が大竹のネクタイを選んであげたいような、あの言い方はなんなのだ。気持ち悪い!!大竹なんてどうせ女子生徒をエロい目で見てるスケベオヤジに違いない!!うわ~!もう最低!ホントに気持ち悪い……!!!
昼休みになってもまだ怒りのおさまらない茉莉香を、皆で「本当に大竹ムカツクよね!」と慰めている。この機会に!とばかりに「私は大竹のここが嫌いだ」「私は大竹にこんなひどいこと言われた」と言い合っているうちに、この中で一番ドSな漫研部員、杏がとんでもない事を言い出した。
「ね、茉莉香。こういうときは、大竹をツンデレのくせにドMで、俺様鬼畜攻めに苛められてるって妄想して気を晴らすんだよ!」
え?
大竹が俺様鬼畜攻めに苛められてるって妄想……?
「……いや、私大竹じゃ萌えないわ……」
「萌えなくて良いんだよ!大竹がひどい目に遭ってるって思ったら、ちょっとすっとしない?」
「……いや」
最近杏にBLの道に目覚めさせられた茉莉香には、まだそこまでマニアックな趣味はない。
目の前にいる三次元萌えとか。しかもアノ大竹が受けとか。あり得ないし。
「え~、それだったら私、相手は設楽くんが良いなぁ」
杏の台詞を受けて、衣澄がうっとりと囁く。
「だって設楽くん、いっつも大竹に懐いてるじゃん?」
「いや~!設楽くんは受けでしょ!?」
「お~い、何勝手に人使って妄想してんだよ!」
すぐ脇にいた男子がゲラゲラ笑っている。その男子の中に渦中の設楽の姿もあって、茉莉香はあまりの展開に真っ赤になった。
「何?俺がどうかした?」
「いや、大竹を妄想の中で辱める協力をしていただこうかと」
「やめろって!いくら妄想でも勘弁だよなぁ、設楽!」
「あはは、やめて。もう科学部行かれなくなっちゃうから」
設楽はイヤそうに笑っているが、周りの男子は楽しそうだ。
「あ、ごめん!じゃあ設楽くんは止めて、私体育の森田が良いと思う!」
「森田!?ちょっと、それガチムチ過ぎて美しくないよ!香織ホントにホンモノ好きだよね!」
「違うって!私水泳部じゃん?こないだ大会行ったら、大竹がいたんだけどね?」
「え?何、大竹水泳の大会とか見に来るの?水着目当て?キモっ!!」
「違うって。大竹って、時々自分の通ってるスィミングクラブの人手が足りなくなると、クラブの手伝いさせられてるらしくって、大会に来ることあるらしいんだよね。で、ばったり会った森田と結構仲良く喋っててさぁ。あの大竹がだよ?びっくりしちゃった」
香織が楽しそうに話し出すと、周りの男子はさすがにちょっと引いてしまい、設楽の顔から表情が消えたような……。茉莉香は設楽の様子が気になって、ハラハラしながら顔色を窺ってしまった。
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