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俺に甘えてみませんか。
こいつからの告白を受け、お付き合いをするようになって三ヶ月。
お付き合いと言っても同じ職場で、こうして休みの前の日はどちらかの部屋で一緒に過ごし、買い物や映画なんかに出掛ける。
ハグやキスはしているが、その先にはまだ進んでいない。
俺に色気や魅力がないせいかもしれない。
あまりにも手を出してこないので、そう思うようになっていたが、同じ男のこいつを誘うような勇気も色気も持ち合わせていない。
色気なんか、俺より侑司のほうがよっぽどあるしな。
スエットを被る背中に目が釘付けになる。
肩甲骨が浮き上がった背中に美術館に展示されているような彫刻を思い出す。
自分にある欲を思い出させる身体から目を離しコーヒーを入れリビングに戻った。
「さっきの話しですけど」
コーヒーを一口飲んだ侑司は俺の目を覗き込むように見ながら言った。
「さっき?」
「甘えて下さいってヤツです」
「あ、あぁ」
「俺の膝に乗ってちゅーしてって言ってください」
ぶっとコーヒーを吹き出した。
「あー、あぁ、ティッシュティッシュ」
「ちゅ、ちゅーし、はぁ!?」
俺が零したコーヒーを拭きながら侑司は俺を見てニコリと笑う。
「甘えて欲しいんですよ」
「そ、それ、甘えてんのか?どっちかっつーとおねだりだろ」
「おねだりも甘えでしょ」
侑司はソファにどかっと座ると両手を広げた。
「はい」
呆気にとられる俺にニコリと笑う。
「い、いや、無理だって、無理無理」
「なんでですか」
「気色悪いだろ」
「気色悪いと思ってんなら言いませんよ」
「俺が気色悪い」
「俺は気色悪くないんです。むしろ真逆。してほしいし、言って欲しいんです」
もう一度はい、と言って腕を広げて待つ侑司を見てため息をついた。
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