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俺のだって言っていいですか。

事務所に戻ってきた誠一さんの耳にも入り、俺達の事は全員に知れた。 同性同士の恋愛なのに、誰一人嫌悪感を示す人はいなかった。 遥さんに良かったなと笑顔で祝福し、 俺に大事にしろよとみんながそう声をかけた。 「めでたいのはめでたいんだけどよ」 和やかなムードの中、誠一さんが言いにくそうに口を開く。 「ここのみんな以外には言わない方がいいぞ」 その言葉に一気に静まり返る事務所。 「はい、わかってます。気を付けます」 俺が答えるとみんなが息を吐いた気配がした。 俺達が相手にしているのは人間だ。 真実が真実のまま伝わるとは限らない。 俺はいい、だけど遥さんや他の社員が好奇な目で見られるのは不本意だ。 すっかり静かになった事務所に電話の着信音が鳴り響いた。 「はい、スマイル派遣会社村上です」 響子さんが電話をとった。 「いつもお世話になっております。はい。水元ですか、少々お待ちくださいませ」 保留にした響子さんが遥さんに告げる。 「遥くん、例の社長さん」 リサイクルショップの社長だ。 遥さんは何回も断っているのに未だ諦めてない。 この事も含めて響子さんは指輪をつけることを勧めたのだ。 「はい、水元です。お世話になっております。はい、は?今からですか?」 遥さんが唖然としたまま受話器を下ろすのをみんなが見つめていた。 「橘さんが今から来られるそうです」 今から?とみんなが遥さんをさらに凝視した時事務所のインターホンが鳴った。

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