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俺を独占してくれませんか。

「すみません、派遣先と派遣社員との直接やり取りさせていただいているスタッフは別にいますので、私は関われないんです」 「えぇー、あたし瀧田さんがいいー」 身体をくねくねしながらごねる芦川さん22歳彼氏と同棲中が面白くなってきた。 どこまで頑張るのか見てみたくなった。 やっぱりこいつモテるよな。 これまでも今ほどじゃないけど、やんわりとアピールされたことが何度もあるし、連絡先を渡されている所を見たこともある。 交わし方も慣れた物でモテ人生を送ってきたんだろうなと思っていた。 こうやって目の前でアピールされるのを見るのは正直面白くないけど、全く相手にしてないのがありありとわかると冷静なままでいられる。 登録に必要な条件を聞き出し、面接が終わると侑司がため息をついたのに気付く。 それぞれ立ち上がり見送りのために出口に向かう。 ご登録ありがとうございましたと頭を下げた俺達に習い会釈をした芦川さん22歳彼氏と同棲中が侑司の腕に自分の腕を絡めた。 「もうすぐお仕事終わりでしょ?待ってますから飲みに行きません?」 腕に胸を押しつけ上目遣いで誘っている。 さすがにイラッとした。 絡められた腕を引き剥がそうと動いた俺よりも先に侑司の口が開いた。 「彼女にいらない心配させたくないので行きません」 きっぱりと言い切り彼女から離れた。 侑司は良い派遣先が見つかるといいですね、と営業スマイルを貼りつかせたまま彼女を見送りドアを閉めると、地を這うような低い声と共に息を吐き出した。

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