22 / 211

俺は嫉妬深いですか。

駅から沢山の人達が流れ出ていく。 この光景を上から見てみたい。 たまに思う。 どんな風に見えるんだろう、一箇所から溢れるように散り散りに歩いて行く人達は。 駅から会社まではおよそ5分ほど。 会社が入ったビルの1階にはコンビニがあり、遥さんは毎朝コーヒーを買ってからエレベーターに乗り込む。 コンビニを覗くとやっぱり。 レジでコーヒーのカップを持ったまま、レジの女の子と楽しそうに喋っている。 後ろに並んでいる人がいないか、時折振り返りながら話す遥さんに思わず頬が緩む。 恐らくあのレジの女の子は遥さんに気がある。 たまに俺も買い物に行くが、接客業の性なのか、営業用スマイルかそうでないかはなんとなくわかる。 俺に対しては完全に営業用スマイルだったあの子が、今は頬を染め心からの笑顔で遥さんと話している。 こんなことで嫉妬してたらキリがない。 そうは思うが、モテるくせに自覚のない遥さんには本当にモヤモヤしてしまう。 モテるのはお前だ、とこないだも言われた。 確かに名刺をもらったり、連絡先を教えられたり、誘われることはある。 が、俺に対してのそういうお誘いは大抵本気ではない。 上手くいけばラッキーだけど、ダメでもいいや、くらいのもの。 遥さんへのお誘いは違う。 どれも簡単には諦められない本気のお誘いな事が多いのだ。 それをあの人はまるでわかっていない。

ともだちにシェアしよう!