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俺の心臓は元気ですか。
ここ最近休日と言えば侑司だ。
平日でも一緒にいることが増えてきたのでもはや特別感とか緊張感は皆無で、
特に休みの日となると侑司の甘やかしが凄い。
侑司は甘えられるのに慣れている。
ふと気になって聞いてみた。
「お前、兄弟いる?」
「いますよ、妹が。遥さんは?」
「うちは兄ちゃんがいる」
「あぁ、よく電話かかってきますよね」
「ん、自他共に認めるブラコンだからな」
昨夜も兄と話したところだ。
兄と話している俺を後ろから抱き締め髪を撫でていた侑司に意識がいってて、何を話したのか覚えていない。
侑司の膝枕でゴロゴロさせられていた俺は優しげな眼差しで俺を見下ろす侑司を見上げる。
柔らかさの欠片もない硬い膝枕に、これでもかと甘やかされるいい歳をした俺。
それを見守るような甘い甘い恋人。
悪くない。
悪くないどころか、もう手放したくない。
この居心地の良さ、甘い空気、そして何よりこいつを。
手を伸ばして侑司の顔に触れると侑司が一層柔らかく笑った。
「侑司、ちゅー……」
「…はい」
髪を撫でながら侑司の顔がゆっくりと降りてくる。
唇が重なる直前、部屋のインターホンが鳴った。
「遥さん」
「いいよ、それよりちゅー…」
離れた侑司の首に手を回して引き寄せる。
あと数ミリというところで、狙ったようにまたインターホンが鳴る。
ため息をついて起き上がり、インターホンを確認する。
「兄ちゃん?」
「えぇ!?」
画面にはにこにこと手を振る兄がいた。
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