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俺と離れても平気ですか。
仕事ではもちろん、例えば飯を食いに行っても、買い物に出かけたとしても。
俺たちは同性で、異性のようにはいかない。
手を繋ぐ、寄り添う、軽いハグでさえも。
元々スキンシップが多いなとは思っていたが、一つになってからそれがさらに大っぴらで多くなった。
どちらかの部屋にいる時限定だが。
隙があれば腰を抱き、髪に触れ、ちゅーをする。
困った事に俺もそれが嫌だとかうっとうしいとか思っていない。
借りてきていたDVDのことをすっかり忘れ、迫る返却日に慌てて2人で肩を並べ鑑賞していたが、
いつの間にかソファに押し倒されていた。
顔中にキスをされ、髪を撫でられ、深いちゅーで舌を絡め合う。
もう映画はただのBGMと化している。
「んぅ、侑司…」
「あんまり名前呼ばれるともっと深く繋がりたくなっちゃいます」
「侑司、好き……侑司」
「可愛い…遥さん」
俺は………泣きたくなるよ。
お前に名前を呼ばれると。
愛しいとか、好きとか、そういう感情に隠れて、
切なくて苦しいって感情まで俺に流れ込んでくる。
それは、いつまでこんなふうに一緒にいられるんだろうって思っているようで。
なぁ侑司。
俺はちゃんとお前に気持ちを伝えられてないかな。
お前の一生を俺にくれと思えるほどに好きなのに、それが伝わってないような悲しさ切なさ。
だから、お前に呼ばれると泣きそうになるんだ。
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