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俺は何度惚れればいいですか。
部屋の鍵を開け玄関に入る。
靴を脱ぎ先に入った遥さんが俺を振り返って唇にキスをした。
「今日もお疲れさん」
髪を撫でる手が優しい。
幸せだ。
くつろげる家に大好きな人がいてくれる。
すぐ掃除をさぼろうとするところや、そのくせトイレ掃除だけは毎日やらないと気が済まないところ、
未だ飽きずにお掃除ロボットさんの後をついて回りお掃除ロボットさんの邪魔をしてしまうところも、
寝ぼけて俺の腕をご飯代わりに齧ってしまうところ。
朝に強く朝からでもカレーやらハンバーグやらを食べたがる。
匂いの強い物とネバネバする物が嫌いで、なのに意地を張って苦手なだけと口を尖らせる。
スーパーに買い物に行くと毎回卵売り場で選ぶのに時間をかける。
全てが愛しくて、愛しすぎて泣けてしまう。
「着替えたら飯にしような」
よしよしと髪を撫で遥さんが笑う。
本当に溢れてしまいそうな涙を堪え寝室に向かう遥さんの後に続いた。
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