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※俺だけでは不足ですか。
響子さんと会社に戻ると自分の席で串団子をちびちびと齧っている侑司がいた。
串団子は真由ちゃんから与えられたらしい。
真由ちゃんも自分の席で串団子に噛みつきながら侑司と俺を交互に見つめた。
響子さんが顎をくいっと侑司に向ける。
「侑司」
呼びかけると俺の方を物凄い勢いで振り返った。
「ごめんなさい、俺が悪かった」
侑司の顔が泣き出しそうに歪む。
他の誰にも見せたくなくて頭ごと抱き締めた。
ロックが解除され事務所のドアが開く。
誠一さんがのっそりと入ってきて俺達を見てぎょっとする。
「まぁ、昼休みだから大目にみるか」
そう言うと頭をかきながら他の皆を引き連れて事務所を出て行ってしまった。
二人きりになった事務所で抱き締めた侑司の髪を撫でた。
「侑司、ごめんな」
「俺も……大人げなかったです、すいません」
でも!と侑司が顔を上げた。
「お掃除ロボットさんでアレですよ、動物なんか飼ったら俺のこと放ったらかしにするでしょう」
しないと言いきれない。
「俺は遥さんのものでしょう、ちゃんと愛情持ってかまってください」
俺を見上げる侑司の目の中に俺が映る。
髪をゆっくりと撫で、頬を撫でた。
「もっとじいちゃんになったら犬か猫が欲しい、その時まで侑司だけ可愛がるから」
「遥さん、愛情は分ける物じゃないんですよ、増えるんです。遥さんは増やすのが下手だから、上手に増やすことができたらいいですよ」
分ける?
増やす?
よく、どころか全く解らない。
「侑司は増やすの上手なのか?」
「俺の愛情は遥さんだけです、俺はそれでいいんです。
でも遥さんは違うでしょう?」
首を傾げる。
それもよく解らない。
「取り敢えず」
侑司が俺に近づく。
「仲直りしませんか」
「賛成」
ぷちゅと可愛いちゅーをして顔を見合わせて笑った。
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