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俺は演技が下手くそです。

那奈ちゃんからラインが届いた。 『遥さん、誕生日なんでしょ?おにぃのプレゼントなんかより那奈をプレゼントするからホテルの予約をお願いしまーす♡』 ふはっと噴き出した。 これバラされてんじゃないの? 最近ソワソワしてたのはこれか。 仕事から帰ってくるとソワソワと着替え、飯を食い、風呂に入る。 俺が風呂から出てくるまでの時間たぶんずっと携帯を弄って何やら調べているなと思っていたが。 何だろう、何をくれるつもりなんだろう。 お掃除ロボット2号さんとか? この部屋を二台のお掃除ロボットさんが動き回るところを想像したら、微笑ましすぎてニヤけた。 何でもいいんだ。 本当は何もくれなくてもいい。 一日のんびりと後ろから抱っこされたい。 一緒にいるだけでいい。 自分で思うがなんて金のかからない安上がりな男だ。 つまらなくないか? 多少我儘言ったほうが可愛いか? よし。 「侑司、俺無人島が欲しいかも」 「は!?」 無人島なら人目を気にせず侑司と過ごせる。 家でもいいけど、家が一番いいけど、 ずっと同じ空間てゆうのが飽きるかもしれない。 咄嗟に言ってみたが、無人島、なかなかいいかもしれない。 自己満に浸りながら侑司を見る。 難しい顔で必死で携帯の画面に指を滑らせている。 後ろからそっと覗き見てみると、無人島、購入と書いてあった。 ごめん、冗談だよ、と額にちゅーをするとホッとしたような顔で笑った。 可愛い。 毎朝ホクロを書くことにしなくてやっぱり良かった。 チクチクと刺さりがちな髪の毛を撫でながら膝に乗って甘えた。

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