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俺は演技が下手くそです。
侑司が悩んでいる。
日に日にやつれていってる気がする。
あんなに好きなイチャイチャもそこそこに毎日携帯と見つめ合っている。
俺の携帯が震える。
ラインだ。
開いてみると那奈ちゃんからだった。
『遥さーん、おにぃがうざいんだけどー。
欲しい物をあげたいのに全然わかんないってうざいんだけどー。
ちんちんにリボンつけたら?って言ったんだけどそれじゃダメー?』
噴き出しながらも侑司が気の毒だ。
短い文章で二度もうざいと言われている。
携帯を置くとソファで前のめりに携帯と見つめ合っている侑司の前に立つ。
侑司の携帯を取り上げると侑司の顔も釣られて上がる。
「遥さん…」
「俺より携帯が好き?」
侑司の目が大きく開く。
「まさか!」
「じゃあ携帯ばっかり見てないで俺見てよ」
侑司の膝に跨り頬を撫でるとぎゅーと抱き締められた。
「遥さんが何より誰より一番好きです」
「濡れそうな台詞だな」
「濡れます?」
「……確かめてみる?」
「みます!……濡れてませんね、あ、でも熱くなってきました」
「ん、あ、侑司…」
「ベッド、行きますか?」
「抱っこして連れてって」
「遥さん、可愛い……」
まだ昼間だというのに二人ともそれを忘れたように抱き合った。
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