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俺と育ててくれますか。

仕事が終わった。 帰りましょう。 今日はスーパー寄って帰らないと卵がもうないですよ。 言葉を準備して遥さんを見るとせかせかと帰り支度をして、席を立った。 「用事できたから先に帰って」 用事って?と聞く間も与えられず遥さんが事務所を出て行った。 薫さんと約束でもしてたのか。 そう思い、スーパーで卵を吟味して選び夕飯の買い物をして帰った。 夕飯を食べ、風呂に入っても遥さんは帰ってこない。 遅くなる時は連絡をくれるのに、電話もない。 心配になってきた。 電話してみようか迷っていると携帯が震えた。 遥さんからラインだ。 『何してる?』 「さっき風呂から出たとこです。遥さん今どこですか?」 『寂しい?』 「寂しいですよ、早く帰ってきてください」 『よしよし(スタンプ)』 これは。 これはもしかして、会えない時間なんとかをやられているのか。 電話が鳴る。 もしもし、と出ると侑司、と鼻声で呼ばれた。 『会えない時間が愛育てるなんて嘘だよ』 ………やっぱり。 『顔見たくて声聞きたくて抱っこして欲しくて我慢できない。あれ?これ結果育ってんのか』 携帯がミシッとかメキッとかそういう嫌な音を立てた。 あまりの可愛さと健気さにあり得ない力が入ってしまった。 「迎えに行きます!今どこですか!?」 『駅前のドトール……』 「すぐ行くから動かないで下さいね!」 携帯と財布と家の鍵をひっ掴んで部屋着のスエットのポケットにつっこんだ。

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