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好きになったら怖いですか。
マスクに冷えピタにゼリー飲料に栄養ドリンク、もも缶にみかん缶にパイン缶、うどんにお粥に梅干しにとろろ昆布、ポカリスウェット数本に水数本、片手でずっしりと重いカゴを抱えレジに向かう。
早く帰ろう。
早く帰りたい。
早く帰って来てねと言われた。
せっかちではないはずなのに、いつもよりレジが進むのが遅く感じる。
早く、早く。
この間に熱が上がって唸っていたら。
一人で寂しくなって涙ぐんでいたら。
一人行き場のない焦りを抱え、レジが終わる頃には少し疲れていた。
潰れる物もない、乱雑に品物を袋に詰め込むと急いで店を出て家への道を戻る。
金曜日の夜、休みの前の夜で浮かれ楽しげに歩く何の関係もない人達を全員押し退けたい。
遥さん、遥さん。
ごめんなさい。
俺が恋人の看病をやってみたいとか思ったせいです。
家に向かう足はいつの間にか駆け出していた。
両手に抱えた袋が重たい。
右手にはドリンク類、
左手には缶詰と食品その他。
重さのバランスが取れてないため走りづらい。
それでもがむしゃらに走った。
もうすぐ帰りますからね、遥さん。
もうすぐです!
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