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好きになったら怖いですか。

そっと寝室のドアを開けて中に入る。 布団がもぞっと動き、遥さんが顔を出した。 出掛ける前より顔が赤い気がする。 「おかえり」 ニコッと笑った遥さんは布団から腕を出し俺に向かって両手を広げた。 その腕の中に収まると遥さんが熱っぽい吐息をつく。 「走った?急いで帰ってきてくれてありがとう」 俺の前髪を撫で上げて笑う遥さんをもう一度抱き締めた。 この気持ちはなんだろう。 なんて表現したらいいんだろう。 どれもぴったりとしっくりとくる気がしない。 愛しくて慈しみたくて手放したくなくてこの腕の中にずっとずっと閉じ込めていたい。 「どした?なんか、辛そうな顔してる…」 ギシギシとぎこちない動きで腕を解いた俺を見て遥さんが眉を顰める。 具合が悪い人を心配させるなんて… 「何でもないですよ。ポカリか水飲みますか?」 リクエストの水を渡すと少し飲み、遥さんは買ってきたマスクをつけ横になった。 目しか見えなくなった。 それでも十二分に可愛い。 熱が上がってきたのか目が潤んでいる。 熱を測ると37.9℃。 少し上がってきている。 ウトウトしだした遥さんを見て、寝室をそっと抜け出した。

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