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俺といつか、の約束をしてください。

薫さんからメールがきた。 華さんの誕生日を祝うので一緒に祝ってほしい、と書いてあった。 同じタイミングで遥さんの携帯にも通知が来て、それを見た遥さんの眉間にきゅっと皺が寄った。 当然断ることなんて出来ない。 めでたい事なら尚更だ。 それから当日までプレゼントを何にするか二人で悩みまくった。 薫さんと華さんの暮らす部屋にお呼ばれし、緊張しながらインターホンを押す。 出迎えてくれた華さんは弾けるような笑顔を見せた。 「いらっしゃい」 お邪魔します、と断ってから部屋に上がり、一刻も早く任務から降りるため二人してプレゼントを手渡した。 話し合い悩み、二人で決めたプレゼント。 遥さんは色々な花の花束、俺は某有名メーカーのふわふわ部屋着。 ありがとう、と受け取った華さんは合格とニコリと笑った。 ほーっと遥さんと二人息を吐いた。 「ところでお幾つになられたんですか」 遥さんが俺の後頭部を叩いたが遅かったようだ。 笑みを貼り付けたような顔の華さんがギシギシと俺を振り返る。 「女性に年齢を聞くなんて、親御さんがどういう教育をされたんかぜひ聞きたいわぁ。 ご両親はちゃんとされとるのに、侑司くんだけ出来損ないなんやろか」 「す、すいません、失言でした」 気を緩めたらヤラれる。 それを学んだ。 華さんの手作りだという意外にも美味しい豪華な料理を和やかにいただき、薫さんが買ってきたケーキを食べ終わる頃遥さんが思い切ったように聞いた。 「今まで呼んでくれたことなかったのに、なんで今年は?」 「遥くん一人やのに、うちらの幸せオーラを見せつけるほど趣味悪くないわ。今年は侑司くんもおるけん大丈夫やろと思って」 あぁそうですか、と遥さんが項垂れる。 唇の端に残った生クリームを指で拭うと遥さんがニコッと笑ってありがとう、と言った。 やっぱり可愛い。 レッサーパンダなんか目じゃない。 俺の遥さんが世界一可愛い、間違いない。 「人の家でイチャつくとかええ度胸しとるねぇ」 レッサーパンダがライオンに変わった。 「いっ、イチャついてなんていませんよ」 「ほんなら、うちの口についたクリームを薫くんがとりよったらどう思うんよ」 「な、仲がいいなぁ、微笑ましいなぁと」 まぁそうか、と華さんはうんと頷いてから片付けに立ち上がった。 レッサーパンダの後ろ姿を見ながら遥さんと二人また息を吐いた。

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