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俺といつか、の約束をしてください。
市役所に向かう二人を見送り、俺たちも自分の部屋に戻ってきた。
ソファに座った俺の膝の上に遥さんが向かい合わせに乗り、首に腕を回して抱き着いた。
「…疲れました?」
「いや、うん、疲れた…」
遥さんの背中をそっと撫でる。
「もし……」
首に回された手に力が入った。
「もしさ、生きてるうちに同性婚できるようになったら…」
「婚姻届の記入、お兄さん夫婦に見届けてもらいましょうね」
うん、と頷いた遥さんは涙声だった。
誕生日のお祝いに行った俺たち。
なのに、お祝いをもらったのは俺たちのようだ。
わざわざ公表する気はないが、隠すこともしたくない。
この人を好きになったことは俺の誇りだ。
「遥さん…愛してます」
ん、とだけ返された声はまだ涙声で、キスをしたかった俺は遥さんの首筋にキスをした。
中々顔を上げない遥さんの首筋に何度も何度もキスをしながら市役所に向かった二人の幸せそうな笑顔を思いだしていた。
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