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※俺を一人にしないでください。

「……ない」 風呂上がりに冷凍庫を開ける。 チョコレートでくるまれたちっちゃいアイス6個入り。 それがない。 風呂に入る前から頭に思い浮かべていたのに。 犯人は一人しかいない。 風呂に向かい無言でドアを開ける。 「ない!」 「え?」 頭をシャンプーの泡だらけにした侑司が顔を上げ俺を見上げる。 「アイスがない!」 「え、あぁ、遥さん食べていいよって言いましたよ」 「嘘だ」 泡が垂れてきて侑司が右目を瞑る。 ウインクみたいで可愛いじゃないかクソ。 「本当ですって。俺が遥さんの物を勝手に食べる訳ないでしょ」 ……それもそうか。 疑ってしまった自分を猛省する。 「……ごめんなさい」 「風呂出たら一緒に買いに行きましょう」 まだウインクのまま、侑司が笑った。 はい、と返事をしてドアを閉める。 が、もう一度見たくなってドアを開けると侑司がさっきより驚いた顔で俺を見上げた。 「も一回ウインクして」 「は?」 「さっき、泡が入りそうになってウインクしたろ?も一回して」 「い、嫌ですよ。仕方なくそうなる時はあってもわざとウインクなんかしたことないです」 「え、そうなの?イケメンの標準装備なんじゃないの」 なんですかそれ、と侑司が笑う。 頭に乗った泡を掴んでペイッと捨てると泡まみれの髪を後ろに流す。 侑司は前髪を上げると途端に男くさくなる。 それが好きだと最近気付いた。 綺麗な富士額が整った顔をさらに男前にする。 俺しか見ない。 それが嬉しい。

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