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※俺を一人にしないでください。
「寒くなってきましたね」
「そうだな」
髪を乾かしてから湯冷めしないようにと厚着させられコンビニまでの道をのんびりと歩く。
平日の夜中近くともなると人通りは疎らだ。
色違いでお揃いの厚手スエットの上下セットは華さんがプレゼントにくれた物。
他にも部屋着が何着かあるのに、俺がこのスエットを着ると必ず侑司もこのスエットを選んで着ている。
暑がりの侑司が着るにはまだ少し早いというのに。
「明日の朝のパンってまだありましたっけ」
「あるけど、黒糖パン食べたい」
「マーガリン垂れるほどつけないでくださいよ」
「垂れるほど塗るから旨いんだろ」
ムキになって言い返した俺の頬を侑司の手の甲が撫でた。
「何?」
「…もうすぐ二年がきますね」
あぁ、付き合ってから?
もうそんなに経つのか。
「一緒にいるのが当たり前、がこんなに嬉しいことが嬉しいです」
道端でなんて事を言うんだ。
耳が熱い。
コンビニはもう目の前だ。
食べられたアイスと黒糖パンを買って帰りたい。
そう思うのに、俺の足は今来た道を戻り始める。
侑司の手を掴んで。
「遥さん、コンビニは?」
「アイスもパンも明日でいい。帰る」
「でも、せっかく来たのに」
足取りの重い侑司を振り返り顎に素早くチューをした。
「お前のせいだろ、帰ってせいぜい可愛いがれよ!」
ますます熱くなった耳を擦る。
侑司が蕩けるような笑顔ではい、と返事をした。
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