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俺も癒やしたいんです。
最近仕事が忙しい。
新規登録のお客さんが増えたこともあるが、
誠一さんの酒まみれ接待のおかげか新規の会社も軒並み増えた。
泰生さんと響子さんだけでは手が足りず、遥さんも会社回りに駆り出され、疲れが蓄積していっている。
遥さんの疲れの解消方法が同居してから俺になった。
帰るとスーツも脱がず、俺をソファに座らせ膝の上に乗る。
「抱っこ」
一言呟くと俺に抱き着き首筋に顔を擦り付ける。
息を深く吐きながらすりすりと甘える。
スーツが皺になります、とかご飯食べましょう、とかお風呂でマッサージします、とか思いつく限りのことは言ってみたが、それより何より抱っこがいいらしい。ぴくりともしない。
この密着感に首筋にかかる息、甘えるように名前を呼ばれ抱き着かれる。
耐える俺を誰か褒めてほしい……
俺で疲れやストレスを少しでも解消できているんだから、それはとても嬉しい。
だが、俺が欲望と闘っていることを遥さんは感じているのか。
疲れてるんだから手は出せない。
そこまで野生ではない。
いや、野生ではないにしても動物園の猿くらいか。
今日も遥さんの肩や背中、腰をマッサージし、寝落ちした遥さんの頬にキスをして夜は更けた。
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