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俺も癒やしたいんです。

今日はデリバリーにしましょう。 そう言ったのに、遥さんは首を横に振った。 部屋着に着替えた遥さんはキッチンに消えた。 その間に風呂を溜め、香りのいい入浴剤を入れた。 入浴剤はおっさんこと那奈からのプレゼントだ。 俺に、じゃなく、遥さんにだ。 ミルクの甘い匂いのするこの入浴剤を遥さんはえらく気に入っていて、大事に使っている。 少しでも疲れがとれれば。 週が開ければまた目の回る忙しさにまみれる。 風呂からリビングに行くとちょうどご飯が出来上がったようだった。 「中国粥、蓮根のきんぴら、きゅうりの梅干しおかか和え」 優しい味のお粥が身体に染み込んでくるようで思わず息を吐いた。 「美味しいです」 そう言うと遥さんが嬉しそうに笑った。 その笑顔に俺も笑った。

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