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※俺に我儘を言ってください。
普段ねぼすけの侑司は休みの日だけ早起きだ。
理由を聞いたら、休みの日は寝てるのがもったいなく思えるんです、と言った。
小学生か。
今朝も起きたら侑司は隣にいなかった。
のそのそと起き上がり伸びをしてから寝室を出る。
気配のあるリビングのドアを開けると侑司がリビングで腕立て伏せをしていた。
リビングのテーブルをずらし、場所を作りマットの上で腕立て伏せをしている。
すでに働いていたお掃除ロボットさんが侑司の近くに行きそうだと思っていると、腕立て伏せをしていた侑司が動きを止めた。
お掃除ロボットさんが離れるのを待っているようだ。
頭を動かしお掃除ロボットさんの行方を見守る侑司が可愛い。
侑司の回りをまるでかまって、と言わんばかりに動き回るお掃除ロボットさんも可愛い。
リビングのドアに凭れたままその和む光景をしばらく眺めた。
「あ、おはようございます」
俺に気付いた侑司が腕立て伏せの格好のまま言う。
「おはよ」
休みの度に見るこの光景が好きだ。
俺だけが知る侑司の日常。
この先もずっと俺だけしか知る事のない侑司だ。
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