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※俺に我儘を言ってください。
「…………遥さん、ちょっと離れませんか」
「やだ」
「あの、ですね、こんな風にくっつかれてると、元気にならなくていいトコまで元気になりそうなんですが…」
「離れるのはやだ」
侑司が困ったようなため息を吐いた。
家での定位置。
侑司の膝の上。
しかも向かい合わせ。
休みの日くらい侑司の顔をゆっくりじっくり見たいのに、離れてとか酷くないか。
最近仕事が忙しくて平日は甘えたくても甘えられない。
侑司だって疲れてる、そう思って割と我慢してるんだ。
侑司の体温と匂い、手の感触、触れるとこから伝わる侑司の思い。
全部が気持ち良くて離れたくない。
ちゅーがしたい。
思ってしまったら物凄くしたくて堪らなくなった。
「侑司、ちゅーしたい」
「え」
笑顔のまま侑司が固まった。
「ダメ?嫌?」
「いっ嫌じゃないです、ただ…」
「ただ?」
「俺、動物園に入った方がいい気がしてきました……」
動物園?
行く、じゃなくて入る?
時々わからないことを口にするのがまた可愛い。
「動物園行きたいの?行く?」
「帰れなくなりそうなので遠慮しときます」
よくわからないが、行かなくていいならちゅーをしよう。
ちゅ、とちゅーをするともっと深く触れ合いたくなる。
侑司の唇に舌を這わせると口が薄く開いた。
すかさず舌を割り込ませ、珍しく消極的な侑司の舌を舐めて吸った。
「遥さん、ちょっと」
「まだちゅーしたい…」
侑司の頬を両手で包み、噛み付くように唇を合わせた。
水音に背筋がぞわりとする。
舌に触れる侑司の熱に酔いそうだ。
もっと、もっと欲しい。
流れ込んだ唾液を飲み込んだ後じゅっと侑司の舌を吸うと侑司が刹那気な吐息を漏らした。
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