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俺の愛する人。
一昨日から遥さんが怒っていて口をきいてくれない。
一日目は怒りのオーラに満ちていて、近づくことも声をかけることも出来なかった。
二日目は怒りと悲しみのオーラが入り混じり、ふと見ると悲しそうな表情で声をかけると無言で睨まれた。
三日目の今日はただ悲しそうで切なそうで、俺は自分で自分を責め続けた。
事のきっかけは那奈のラインだった。
今月は那奈の誕生日で、月末の土日に実家に帰るから遥さんと一緒に実家に来て、というお誘いのラインだった。
当然遥さんにも那奈からお誘いが来ていて、俺としても当然遥さんと一緒に行こうと思っていた。
が、その話しを遥さんにした途端、遥さんの表情が激変した。
「お前何言ってんの!?」
怒鳴るように発せられた声は悲しみも含んでいるように聞こえた。
遥さんのそんな声を聞いたのは初めてだった。
「遥さん?」
「那奈ちゃんからのラインに、ご両親に話してあるって書いてある、俺のこと」
「え、はい……」
那奈にはこのマンションに引っ越す前に、両親には引っ越した後で遥さんのことを話していた。
それがこれほどまでに遥さんを怒らせてしまうことだとは思えなかった俺は戸惑いながらも頷いた。
「お前長男だろ、それに二人のことなのに、なんで俺に黙ってご両親に話すんだ」
遥さんはそう言い、悲しそうに泣き出しそうに顔を歪めて続けて口を開く。
「俺とのことでお前まで実家に帰れなくなったりご両親と疎遠になって欲しくない……」
だからもし話すとしても時期は二人で話し合って決めたかった。
遥さんの苦しそうな声がそう呟く。
俺の胸が握り潰されたようにぎゅうと痛んだ。
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