159 / 211
俺の恋しい人。
ベッド脇のライトのぼんやりとした灯り。
オイルヒーターのほんわかした暖かさ。
しわくちゃになったシーツ。
侑司も俺も全身にしっとりと汗をかき、その肌を隙間を埋めるようにひたりとくっつけあっていた。
付き合ってから何度か喧嘩はしたけど、喧嘩らしい喧嘩はこないだのが初めてだった。
怒りは一瞬で、その後はただ切なかった。
持って行き場のない感情は自分を責めることでどうにか収めた。
実家からほんの一時で帰ってきた侑司はこれまでにないほど性急に俺を求めた。
決して乱暴ではなかったが、身体をなぞる手が唇が止まらない思いを伝えてきて、それに引き摺られるように俺も声を上げ身体を震わせ侑司を求めた。
その日から毎晩のように侑司は俺を抱く。
タガが外れたかのようだ。
どれほど我慢していたのか思い知らされるほど情熱的に官能的に求められ拒むどころか俺の身体も心も侑司を求めた。
「…大丈夫ですか」
頬を撫でる手が優しい。
思わず擦り寄った。
「なんかもう、お前の形になってる気がする」
俺を見つめる侑司の目の奥がまだ燻っているように見える。
腕を回されている背中を上から下に指がつうっと降りる。
「……っ」
それだけでびくりと揺れた身体に侑司が困ったような顔で少し笑った。
「知ってました?ここ。ホクロがあるんですよ」
「見えないから知る訳ないだろ…」
指が止まった所は尻の割れ目に繋がるすぐ上。
あとここにも。
そう言って指が肌を滑った先は腰骨。
行為が終わった後の敏感な身体は、普段に戻りつつある意識を簡単に引き摺り戻す。
「……はっ」
侑司の唇が柔らかく俺の唇を食んだ。
舌先でちろりと舐められ唇を開くと熱い舌が入ってくる。
舌の下をなぞられるとこもった喘ぎ声が侑司の唇に飲まれる。
飲むのが間に合わず唇の端から溢れる唾液が顎を伝って首の後ろに流れた。
鼻を擦り合い、唇が触れてるだけの状態で、侑司がふっと息を吐く。
それが誘うようで求めるようで抑えてもいるようで、自分から舌を伸ばし離れた侑司の舌を追った。
なぁ……もういっそのこと俺を食べて。
そうなったらお前の一部になれる。
ずっとお前の一部のまま、ずっとお前と居られる。
だから、もう俺を食べて飲み込んで。
お前が愛しくてたまらないんだよ……
ともだちにシェアしよう!