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※俺の溢れる思い。
「ドライヤーして」
風呂から上がった遥さんがドライヤーを持ってリビングにやってくる。
濡れた子犬が無敵に可愛いのと同じくらい可愛い。
いつもは見えている目が濡れた髪からちらちらと覗く。
ソファに座り開いた俺の脚の間に腰を下ろした遥さんが俺に凭れる。
ドライヤーで柔らかい髪を梳くように指を通し乾かしていく。
何でもいい。
この人の世話が出来ることが嬉しい。
「終わりましたよ」
ドライヤーを止め髪を撫でる俺を遥さんが振り返り仰ぎ見た。
「気持ち良かった。ありがとう」
ニコッと笑った後太腿に顔を乗せすりすりと甘える。
「今日も仲良し、する?」
誘うような声色と表情に心臓がばくんと跳ねた。
太腿に擦り寄せる反対の頬を撫でると遥さんは目を閉じ今度は手のひらに擦り寄る。
「今日は…しません。だからゆっくり寝てください」
パチっと目が開き、その目が俺を見つめる。
「しないの?」
「……しません」
遥さんが俺を見つめたまま手を伸ばす。
顎を撫で頬を撫で耳を掠めた手は首の後ろに回りあっ、と思った時には膝の上に遥さんが乗っていた。
頬が微かに触れ合わされた後遥さんが首筋に軽くキスをする。
「せっかくお前の形覚えたのに、抱いてくんないの」
ぶわっと毛穴という毛穴が開いた気がした。
額から汗がじわりと滲む。
遥さんのお尻の下に手を入れそのまま抱え上げると寝室に向かう。
押し倒すようにベッドに寝かせると遥さんが俺を見上げて微かに笑った。
「そのまま俺の形覚えててください」
唇に重ねるだけのキスをして俺は寝室を出て風呂場に駆け込んだ。
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