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俺はこれまでで最高をあげたいんです。
「遥くん、悪いクセがでてるんじゃない?」
響子さんが背中をポンと叩く。
「普段は腹が立つほど大雑把なのに、変なトコで臆病なんだから」
臆病…そうなのかも。
失いたくない。
でも、縛りたくもない。
でも…束縛したい。
矛盾だらけの自分に呆れ笑いが漏れた。
「喜ぶ物をあげたい。そうでしょ?」
優しい声を見上げると、細く綺麗な指が俺の頬を痛いほど引っ張る。
「アレコレいらないこと考えてないで原点に戻りなさい」
「……ふぁい」
長い爪が食い込むほど引っ張られた頬を撫でながら思う。
響子さんには本当に叶わない。
原点に戻る。
侑司が喜ぶ物。
喜ぶこと。
………ダメだ、俺しか思い付かない。
色々考え悩んでみても、
思い付くのはアレしかなかった。
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