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俺はこれまでで最高をあげたいんです。

「遥さん」 お父さんの声に顔を上げる。 優しい笑みを浮かべているのはお父さんだけではなかった。 隣に座るお母さんも、まるでおもちゃで遊ぶ小さな子供を見守るような眼差しで俺たちを見ていた。 「侑司をそれほどまでに思ってくれてありがとう」 また溢れそうになった涙を目の中に溜め堪える。 「侑司は長男だからか、何事に関しても簡単に諦めて誰かに譲るクセみたいな物があってね。 家では那奈に、学校では友達に、社会に出ても先輩や後輩に。 執着すればいいというものではないが、諦めが逃げているようにも思えて夫婦二人で心配していたんだ」 な?とお父さんが隣のお母さんに問う。 「那奈がねぇ、こんなおじさんみたいに育っちゃったしねぇ」 おじさんて何よ!とご両親の後ろに立っていた那奈ちゃんが喚く。 「その侑司が離れたくない人がいる、と話しをしてくれたのが遥さんです。 守り、側で世話をして、生涯を共にしたい、と」 初めてだったね、とご両親が顔を見合わせて嬉しそうに笑った。 「反対する理由は幾らでもあるのでしょうが、侑司が誰かを何かを諦めず譲らず僕達に宣言する、それが僕達は単純に嬉しいんです。 離したくないと望む相手も同じくらい侑司のことをそう望んでくれているなら尚更です」 侑司をよろしくお願いします。 そう言って頭を下げたご両親は涙で歪んで見えた。

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